とはいえ、ただのスキャンではありません。Megascans ライブラリは、最高品質のフォトリアルなアセットがあることを誇っています。Quixel の共同創業者兼 CEO、Teddy Bergsman Lind 氏は次のように述べています。「私たちは品質にはとてもこだわっています。社内のパイプラインは、とてつもない量のディテールをキャプチャできるようになっています」
自社の製品をテストするために、Quixel のチームは最近、映画のような独自の 4K 短編映像プロジェクトを開始しました。ただしこれには一工夫あって、その映像は Unreal Engine でリアルタイム (24 fps) で動作します。 「フォトリアリズムをリアルタイムでとてもシンプルに実現できるようになっているということを示したかったのです」と Bergsman Lind 氏は述べています。
Rebirth と名付けられたこのプロジェクトは、2018 年にチームがアイスランドで実施した 1 か月におよぶスキャンの旅で得られたデータを活用するものです。制作チームは、3 人の元ゲーム アーティスト、1 人の VFX スーパーバイザー、アート ディレクターの役割を務める 1 人のアーキテクトで構成されています。
クリエイティブ ディレクターの Dan Woje 氏は次のように述べています。「最初は冗談だろうと思いました。私たちは制作会社ではありません。そのためのパイプラインもありませんでした。私は CG のバックグラウンドがあるので、これをうまくやるために必要なものがないということがわかったのです。ですが、当社にはすばらしい人材が何人もいました。彼らがアセットをエンジンに取り込んで、基本的なライティングを施したら、無事に動きました」
不安を感じていたのは Woje 氏だけではありませんでした。リード アーティストの Wiktor Öhman 氏は次のように述べています。「このプロジェクトに取りかかるときは怖いと思っていました。私はこのような大規模な環境を扱ったこともなければ、ライティングや雰囲気が重要になる建築ビジュアライゼーション スタイルで建物の内外を扱ったこともありませんでした。ですが、ボリューメトリック フォグやライティングなど、Unreal の機能はとても使いやすいものでした」
「Unreal のツールはどれも親しみやすく、使いやすいです」と Öhman 氏は付け加えて、制作の後半で登場したショットを例に挙げました。そのショットでは、ビューアは未来の車輌のコクピット内にいて、車輌は環境内を猛スピードで走り、心電図モニターが脈打ち、電子音が聞こえています。「Unreal のツール、特にマテリアル エディタとブループリント エディタを活用することで、そのショットの最初のドラフトを 7 時間で作ることができました」
実際、どのショットでも、チームは 1 日のうちに約 90% の品質に到達できました。それぞれのショットは 1 人のアーティストが担当し、セットの装飾、ライティング、VFX、フォグ カードから、フィルム粒子、色収差、ビネット効果などのポストプロセスまでの処理を行いました。
「ショットはとても忠実度が高く、よくできていたので、カメラが現実らしく感じられるようにする必要がありました。人を雇ってモーション キャプチャされるカメラリグを作成し、シーン内に仮想的なカメラマンを作成できるようにしました。ただリグを持っているだけで、カメラマンの心臓の鼓動に合わせて動きが生じるようにしました」と Woje 氏は述べています。
この作品は大成功を収めました。これまでに YouTube での再生回数は 170 万回を超え、とてもポジティブなフィードバックが寄せられています。美しい短編映像であるうえに、作り出した世界が完全にインタラクティブなものでもあるという点は信じ難いものです。さらに、チームの全員が学びの機会を得ることができ、リアルタイム レンダリングの将来について多くを期待できるようになりました。
Woje 氏は次のように述べています。「新しいパイプラインについて学び、この作品をどう実現するか学んだことは、すばらしい経験となっています。リアルタイムで作業することの価値について目を開かされました。数か月前からは考えられなかったことですが、次の作品について期待していると本心から言えます」
Öhman 氏もその点には同意しているようです。「振り返ってみると、またやってみたいと思える経験でした。何度も繰り返していきたいと思います。とても多くのことを学んで大きく成長できました。制作中に多くのことを学べたということからも、Unreal Engine が強力であるということがわかるでしょう」
Quixel のチームはとても寛大で、制作を通じて学んだことを詳細なチュートリアルとして共有しています。このチュートリアルにも非常にポジティブなフィードバックが寄せられています。ここで紹介されているテクニックは、業種を問わず、フォトリアルなリアルタイム作品を作ろうとするすべての人にとって役立つものです。
「3D 業界全体がやがてリアルタイムのワークフローに収斂するだろうとわかったことが最大の収穫の 1 つです。誰もがこのツールセットを活用するようになるでしょう」と Bergsman Lind 氏は述べています。
時代を先取りしたいとお考えの方は、今すぐ Unreal Engine をダウンロードして、リアルタイム プロジェクトへの取り組みを始めてください。