Jacobs、インフラ プロジェクトのためにインタラクティブなビジュアライゼーションを活用

画像協力: Essex County Council
Ken Pimentel |
2021年1月5日
Jacobs は、テクノロジー主導のソリューションを提供するグローバル企業です。全世界で 55,000 人以上が、インフラから宇宙探査まであらゆる分野で活動しています。同社は、3D ビジュアライゼーションを活用して、さまざまなプロジェクトを手掛けています。最近では、英国における大規模インフラ計画のために Unreal Engine を使用した最初の商業プロジェクトを実現しています。

このプロジェクトに関係する人々は、その出来栄えに感動しました。「レンダリングにかかる時間と、低速で柔軟性に欠くワークフローで無駄に必要となっていた時間が浮いたため、ビジュアル上の深みを改善できる余裕が生まれました。この改善こそ、みんなが気がついていることなのです」と、Jacobs でシニア ビジュアライザーを務める Alex Styles 氏です。 

インフラ企画を 3D でビジュアル化する

チェルムスフォードは、英国エセックス州の中心都市であり、国内では最も新しい都市の一つです。同市は、地域経済の牽引役として、将来の開発と経済成長を促すために輸送網を必要としています。

エセックス州議会は、ネットワーク レールなどのパートナーと協力して、8 キロメートルの新たなバイパス道と鉄道の駅を建設することによって、1980年代に建設された同市の既存インフラに対する圧力を緩和することを目指しています。このバイパス道は、住宅地区を通過する交通量を迂回させ、チェルムスフォードにおける重度の混雑を解消する狙いをもちます。また、隣接する町 Braintree と結びつける役割も担います。 
 

Jacobs は、この地方自治体から委託を受け、実際の映像/インフォグラフィック/3D ビジュアライゼーションを含むビデオを制作することになりました。その目的は、開発およびその利点と影響を説明し、プログラムの各部分によって他のすべての部分がどのように支えられるかを示すことにあります。 

「地元の写真の選択、そして、コンピュータで制作されたビジュアルの使用、さらには、計画の俯瞰的なフライスルーによって、実に有益でわかりやすく、しかもテクニカルな表現が、提案されているバイパスと駅について得られました。私自身、地元住民であるので、このプロジェクトには大いに期待していて、その実現を楽しみにしています」と Paul Crick 氏 (資本投資/交付の責任者 および エセックス州議会議員) は言います。

レビュー時間を大幅に削減する高速レンダリング

Styles 氏は、グローバル チームに複数存在するシニア ビジュアライザーの一人として、ビジュアライゼーションを組み立て、チームを組織し、クライアントとのメインの折衝役を務めることを仕事としています。「私の最終的な目標は、プロジェクトが望まれる結果を出すようにすることであり、納期を守り、予算内で最高のクオリティで完成させることにあります」と彼は言います。
 

チェルムスフォード のプロジェクトは、2 つの成果物から成ります。一つは、エンジニアリングと地形を詳細に表現する 3D のフライスルー映像です。もう一つは、プロジェクトの背景と機能を説明するために使用される 2D のインフォグラフィックスです。「3D によるシーンについては、ハイトマップを使ってランドスケープ テレインを作成し、デザイン データをそのテレインに合わせるようにしました。テレインは、マスク用画像を使ってペイントされ、ふさわしい地面のテクスチャとフォーリッジが適用されました」と Styles 氏は話します。「さらに、独自のカスタムの道路システムをシーンに適用し、それを使って、車両のためのシンプルな交通量シミュレートを制御したため、インポートされたデータや手のアニメーションを必要とすることはありませんでした。」
画像協力: Essex County Council
2D のインフォグラフィックスのために Jacobs は、通常の 3D シーンを複数のレイヤーとして作成して互いが正しく重なるようにし、正投影カメラにより録画しました。「すべての準備が整い、稼働するようになると、シーケンサーでクリップを出力することは簡単な仕事です。時間は信じられないくらい節約できます。特に、多数のイテレーションとクライアントからの多数の要求がともなうこのようなプロジェクトではそうなります」と Styles 氏は明かします。
画像協力: Essex County Council

リアルタイム 対 オフライン レンダリング 

チームは、選択的なビジュアライゼーション プロジェクトのために Unreal Engine を使用しています。Unreal Engine には、リアルタイムに結果を表示するという重要な機能があるため、素早くイテレートでき、最終的にファーム レンダリングで使用されるリソースを節約できるようになります。

「Unreal Engine が利用しやすいのは、ノードベースのスクリプティング機能と高品質のレンダリング機能が備わっているからです」と Styles 氏は述べます。 
 

リアルタイム テクノロジーによって、ビジュアライゼーションでは、当て推量が必要なくなります。Dotlacil 氏はこのことを次のように説明します。「リアルタイム レンダリングをオフライン レンダリングと比較すると、見たままのものが出来上がるという点が、その最も一般的な利点ということになるでしょう。オフライン レンダリングだと、シーンのプレビューを迅速に行い、経験豊かなアーティストなら、些細な変更が加えられたとしても、出来上がりがどのようになるか想像できます」と彼は言います。「リアルタイム テクノロジーの利点は、より影響度の高い変更が行われたとき、たとえば、ライティングの設定を調整したときなどに自ずと明らかになります。」

Dotlacil 氏がプロジェクトで中心視したのは、3D ビジュアライゼーションです。これは、Unreal Engine の Open World ツールの多くを使用して作成されました。「48 平方km をカバーする必要があったので、プロシージャルなワークフローが絶対に必要でした」と氏は説明します。「ハイトマップは、CAD データと現実世界の高度に関するデータを組み合わせて、文脈空間を満たすことによって作成されました。」

チームが直面した大きな問題は、空中距離からも眼高であってもビジュアル上の忠実度を確保するということでした。これを実現するために、チームは、ランドスケープのマテリアルのために Quixel Megascans のテクスチャと空中の映像をブレンドしました。また、Unreal Engine のリアルな Sun and Sky アクタを使って、正確なライティングの表現を得るとともに、Procedural Foliage ツールを利用して、その領域を文脈フォーリッジで素早く満たしました。
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ブループリントを使ってカスタムのツールを作成する

チームが独自ツールをカスタムメイドできることが、このプロジェクトでは最重要となります。特に、バイパスのインフラを複製する場合に高度な正確性を実現するために重要となります。「道路の場合は、精度の優先度が高かったです」と Dotlacil 氏は述べます。「エンジニアリングのデータがデジタルの 3D 環境に完全には対応していない場合、3ds Max でジオメトリをクリーンアップする作業にチームとして時間が費やされることになります。」

そのプロセスをスピードアップするために、彼は、ブループリント ビジュアル スクリプティングとエディタのウィジェットを使って、スプライン ベースのツールを作成しました。このツールは、手作業で作成されたカーブや事前定義されたカーブに対してプロシージャルにデータを満たしていきます。ビジュアライゼーションのために交通をシミュレートする場合 Dotlacil 氏は、スプラインに従いつつ他の車両を考慮する組み込みのロジックを使ってブループリント アクタを作成しました。「道路と交通のシステムによって、一定程度の制御とビジュアル品質が加わり、他のプログラムでできることが実際に改善されました」と Styles 氏は語ります。 
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このようなツールを作成するために投下された時間は、意味のあるものとなりました。というのも、今後手掛けることになるプロジェクトに再利用できる有益なリソースが得られたからです。「以前に作成したものをイテレートし、改善し、拡張できるようになりました」と Dotlacil 氏は述べます。「たとえば、私が組み立てたデモ用プロジェクトには、複雑だけれども最適化されたランドスケープのマテリアルと、さまざまな植物のアセットが含まれています。これらは、将来のプロジェクトの中にいつでも再利用できるのです。」

興味深いことに、Dotlacil 氏は自分自身のことをコーダーだと考えていないにもかかわらず、このようなツールを作成しています。「コーディングの経験はほとんどありません。もしも私が何らかのスクリプティング言語を使ってこれらと同じツールを組み立てなければならないとしたら、とても上手くいくとは思えません」と彼は言います。 

Styles 氏にとって、より高速でより頻繁なイテレーション サイクルを可能にすることこそ、リアルタイム レンダリングの本領発揮と言うべきものです。「シーケンサーは、旧来の CPU レンダー ファームよりも高速かつアジャイル的です」と彼は指摘します。「だから、レビューの頻度を上げることができ、フィードバックに24時間以内に応えることも可能となります。イテレーションの必要性を除去することはできないのですから、アジャイル的開発が可能になるツールはものすごく大きな僥倖となるのです。」

高速でフレキシブルなリアルタイム テクノロジー

リアルタイム テクノロジーがもたらす柔軟性とスピードがあれば、高速な制作が可能になるだけではありません。開発中に何かを簡単に一方に動かしたりできます。2D や 3D、静止画像、ビデオ、インタラクティブなコンテンツを必要に応じて制作することが可能になります。 

さらに言えば、これらすべては、一つのメインのプログラムを使って行われるため、チームはさまざまなソフトウェアについて学ぶ時間を節約できます。「必要となったものは、CAD と、3D モデリング パッケージ、画像編集ソフトウェア、Unreal Engine、シンプルなビデオ編集ソフトウェアだけでした」と Styles 氏は明かします。

Jacobs では、インフラのビジュアライゼーション プロジェクト以外でも、リアルタイム テクノロジーを使ってさまざまな興味深い新たなやり方でイノベーションを推進しています。昨今の制約により、クライアントと関係者が直に接することが難しい状況にあるため、Jacobs は、Unreal Engine を活用して、プロジェクトとインタラクトする素晴らしい方法を開発しました。 

同社の Virtual Event Space は、チェルムスフォードのプロジェクトのために、広範囲に及ぶコミュニケーション用プログラムの一部として使われることによって、関係者にインタラクティブかつバーチャルな経験を提供しました。これは、任意のコンピュータやモバイル デバイスから簡単に直接アクセスできるものであり、新型コロナ ウイルスの流行によって従来の対面式での仕事が不可能になった折に使われるようになったものです。 

チェルムスフォードのバイパスのようなプロジェクトの成功や、Virtual Event Space などのイノベーションのもつポテンシャルに目を向ければ、Jacobs がこれから長期に渡ってリアルタイム テクノロジーのパワーを駆使していくことになると見て取れます。 

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